経理で働く将来性-戦略経理の考え方

経理・会計

・現在経理として働いているが、将来性に不安を持っている人

・経理の仕事に興味があるが、経理の仕事のやりがいについて知りたい人

そんな人に読んで欲しい内容です。

最近本屋に行って驚いたのが、

「経理」についての本の少なさでした。

一方で、

「会計」に関する本は本棚一杯の本があるという状況。

本の数というのは、それだけ多くの人が必要としているということ。

経理と会計でこれほどのちがいがでていることにおどろきました。

さらに自動化や外注化など多くの外部要因もあり、

経理の置かれている環境はますます厳しくなっているのも事実です。

その中で、経理職としての将来性に不安を感じる人がいても不思議なことではありません。

そんな大変な時期だからこそ、

経理の働きがいや将来性について考え直す必要があります。

ふるとり
ふるとり

簿記2級を取得していて、現役の経理を3年間経験している
ふるとりが本記事を書きました。

結論

確かに、経理事務員はこのままだと代替されてしまう可能性が高い

具体的には、

①AI化・自動化

②外注化・BPO

③リストラ

の3つのリスクがある。

戦略経理として、

①例外業務への対応や創造性のある業務に携わる

②自社の数字に徹底的に関心をもち、業務改善案を提案する

③コストセンターの枠に捉われることなく、

売上を上げること・費用を削減できる可能性があることを認識しておく

を意識して働くことで、経理ならではの強みを生かすことができる。

結果として、今までよりも高い価値を提供することができ仕事のやりがいにつながる。

外部リスク

現在の経理事務員にとって、多くの外部要因があります。

昨今の経営状況の中で、思うように成長できていない会社がとても多いです。

そんな中で今までと同じやり方にこだわる経理事務員は、

下記の3つとの激しい競合と競争を強いられることを意味しています。

①自動化・AI化

2015年に野村総研が、仕事の将来性に関する調査を発表しました。

その中で、

・経理事務員

・会計監査事務員

・一般事務員

などの仕事が代替可能性が高い仕事として紹介されていました。

反対に代替可能性の低い仕事としては、

・中小企業診断士

・経営コンサルタント

・雑誌編集者

などが挙げられています。

上記でわかるのは、

単純作業・ルーティンワークはAIは得意だということ

中でも、膨大な量の情報から適切なデータを取り扱うのはAIが最も得意とするところです。

将棋やチェスなどの分野では、人間よりAIが強いことが証明されており、

人間がAIを使って勉強をするという流れになっています。

反対にAIが苦手とするのは、

例外に対する対応や、創造的な分野です。

従来の経理事務員から連想される、

仕訳を1つ1つ記帳し、

支払いや入金なども人力で対応する姿からは、

残念ながら創造性を感じることはできません。

しかし後でも書くのですが、

私は経理こそ

例外や創造性の入り込む余地が大きく、

将来性のある仕事だと思っています。

後述したいと思います。

AIとの文脈でよく話題になるのが、

仕事を奪われるのか・奪われないのかとなりがちですが、

「単純作業でやりがいの少ない仕事を、AIがやってくれるようになるんだ。

もっとやりがいのある仕事に挑戦できる環境が整ってくる。

と考える必要があります。

②経理代行BPO

「会社に経理はもういりません」

「経理担当の人件費を削減できます」

「全部お任せ・全て丸投げでOK!月額980円から」

これは、経理代行会社のキャッチコピーです。

経理代行とは、

記帳業務・給与計算・支払いや入金対応

などの一部業務を外部で代行してくれるサポートのことです。

特徴と言っては、何と言っても金額の安さ

月額数百円〜数万の色々なプランがあります。

正社員のコストと比較してはるかに安いので

金額で単純に見た場合、

経理代行を使わない手はありません。

また、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)というサービスも最近登場してきました。

これは総務・人事・経理などの業務プロセスを、

企画から設計・実施まで外部委託することを意味しています。

業務プロセスそのものを外部委託するので経理代行よりも委託先の

業務の自由度が高くなっています。

特徴と言っては、何と言っても専門性の高さ

担当する領域ごとに特化した会社が多いです。

仕組みがあまり整っていない段階の会社にとって、

検討の余地があるのかもしれません。

こうしたサービスに対して、金額面で経理は勝負することはできません。

では、経理ならではの持つ強みとはなんでしょうか。

後述したいと思います。

③リストラ

経理は直接には売上をあげません。

それがコストセンターと呼ばれている所以です。

経理事務員は企業の業績が不振で、

どうしても従業員を解雇・整理しなくてはいけない時に対象となりやすいのです。

最近だと2018年に、富士通のリストラがありました。

海外部門の業績不振を経て、

人事・総務・経理などの間接部門約5000人が

営業やSEに配置転換を命じられました。

結果的に3000人が早期退職をし、2000人が配置転換に応じました。

ぴよ
ぴよ

富士通みたいな有名な会社でも、リストラが行われてるんだね。

そして、私自身も同様のケースを経験しました。

私の所属する会社もコロナ禍に伴う業績悪化を受けて、

人員の整理が行われたのです。

そして経理部の数名が退職となってしまいました。

この経験から、経理事務員でい続けることの危なさを実感しています。

有事の際、人員整理の先頭を切ってしまう可能性が高いというリスクが経理にはあるのです。

経理は直接には売上をあげません。

しかし、間接的には売上をあげることができます。

さらに費用も削減できる余地もあり、

従来のコストセンターの枠組みを超えて活躍できる可能性が

経理には秘められているのです。

後述したいと思います。

外部リスクへの対応方法

「経理事務員」にとって、

上で述べた3つの外部リスクは確かに存在します。

しかし、外部要因が持つ弱点もいくつかあります。

反対に、現場の経理社員だからこそのメリットもたくさんあります。

その違いを認識した上で、

経理としてのキャリアプランを考えていく必要があるのです。

従来通りの経理事務員ではなく、

経理の持つ強みを認識して、会社に貢献できる経理を

戦略経理名付けて話を進めていきたいと思います。

今回一番お伝えしたい内容になります。

①自動化・AI化

単純作業・ルーティンワークはAIは得意だということ

しかし、例外に対する対応や創造的な分野は、戦略経理の持つ強みと言えます

例外対応とは例えば、

経費精算業務が挙げられます。

経費精算は、その目的や用途などによって

経費になるかならないのかの判断がとても難しいです。

漫画を購入したら経費になりますか?

高級衣装を買ったら経費になりますか?

普通なら、

「何を言っているんだ。そんなの経費にできないよ。」

そう思われる方もいるかもしれません。

ところが一概にはそう言えないのです。

例えば、あなたがプロの漫画家を目指す卵だとします。

他の人の漫画を購入して、

本業の作品に生かすための技術を

学ぶために購入したのだとしたら?

例えば、あなたが芸能人だとします。

テレビの収録のために使用する高額な衣装を購入したのだとしたら?

勿論、”仕事のために”、

が前提ですから私服で使っているものは経費にできません。

紅白の小林幸子さんを思い浮かべて欲しいです。

あれなんかはおそらく、全額経費になっていると思います。

このように、同じものを購入しても

その人の行なっている事業や目的によって

経費になるかならないかの違いがあるのです。

中小企業なら、

経費になるかならないかの判定を顧問税理士に一任している企業も多いと思います。

しかし、税理士は詳細な使用の目的までは把握していません。

保守的に見積もって、経費として認めてくれないこともあるかもしれません。

そんな時に戦略経理が、

その経費の事業性を説明し、自らの存在感を示すことに重要性があるのです。

経費の申請に関して、

社員の中には曖昧な情報で経費の申請をする人もいるかもしれません。

そんな時には右から左に作業をすすめるのではなく

申請者に対して、

経費申請の妥当性や目的などときちんと問うことも重要になってきます。

②経理代行・BPO

金額の安さでは、経理事務員は勝つことはできません。

しかし代行業者は、自社の数字の結果までは責任をもってくれません

代行業者は、あくまで仕事の一部を請け負うだけになります。

確かに給与事務だけを会社が必要としているならば、それで十分でしょう。

しかし一歩進んで、

・その給与水準は妥当なのかどうか

・同業と比較したときの労働分配率

(企業で生産された付加価値の中でどれだけ労働者に還元されたかの割合)は適正かどうか

このようなことを考え、業務の改善や提案をしていくことが大切です。

自社の数字にどれだけ関心を持てるかどうか

これが戦略経理として働いていくために必要になってくるのです。

③リストラ

業績不振など有事の際には、

経理をはじめとしたコストセンターが

リストラの対象になってしまいます。

その原因は、経理が売上を上げないからです。

経理は売上を直接には上げません。

しかし、間接的には売上を上げることが可能であり

費用を削減することも可能なのです。

経理自身がその考え方を持ち、

行動をしていくことで会社も

経理も会社の利益に貢献してくれる部署なのだと、

認識してもらえる可能性が高まります。

売上を間接的に上げることに関して言えば、

与信管理が挙げられます。

取引先の支払い能力を調べ、適正な売上をあげることは

売上の質を高めることにもつながり資金繰りに貢献します。

費用の削減案に関しては、私の具体例をご紹介します。

私の所属する会社では、毎月支払い調書を支払い先に対して発行していました。

しかし、支払い調書の発行は法律で義務付けられてはいません。

あくまで会社の善意によるものなのだと知りました。

会社が発行しなければいけないのは源泉徴収票になります。この情報を元に

受取人は確定申告をする必要があります。

費用を見える化を行ったところなんと、年間で120万円も経費がかかっていることが

判明しました。

会社の経営状況が苦しい中でお金と時間をかけるだけの妥当性があるのかどうかを

上長に提案しました。

その結果、この支払い調書業務の見直しをすることができ

空いた時間を、より付加価値の高い仕事に回せるになったことがありました。

まとめ

今まで通りの仕事をこなすだけの経理事務員は下記の3つとの競争をすることになる。

①AI化・外注化

②経理代行・BPO

③リストラ

この3つのリスクに対応するために、「戦略経理」という働き方を紹介しました。

①例外業務や創造性が生かされる分野の仕事に挑戦していく

②コストの安さでは勝負しない。

自社の数字に高い関心を持ち業務改善案を提案していく

③経理も売上をあげれること・費用削減ができることを認識する

単純なコストセンターではないのだと考え、会社の利益に貢献できる業務に挑戦していく

ふるとり
ふるとり

最後までお読みいただきありがとうございました!

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